book: 「ルーカス帝国の興亡:<スターウォーズ>知られざる真実」ジェリー・ジェンキンス、野田昌宏訳、扶桑社 ISBN4-594-02495

ジョージ・ルーカスの「スターウォーズ3部作」の製作過程を追った伝記的記録。形態は一般的なメイキング本そのものである。その意味ではありふれた本なのだが、このプロジェクトが以下に狂気じみていたのか、ハリウッドがどれほど狂気じみているのか、また、結局のところこのプロジェクトが素晴らしい作品を生み出したにもかかわらず、ルーカスとその周りの人間関係や出演者の運命がいかに苛酷なものであったのか、などの事実が読ませる本である。

私はスターウォーズ3部作を、SF界の最高峰の作品とは思わないが、過去のあらゆる冒険譚や神話などのエッセンスを詰め込んだ、SFエンターティメントとしては最高の部類に入るし、またその製作過程で実験的に作られて来たSFXの効果も非常に優れたものだと思う。それだけのものを生み出しながらもなお、ハリソン・フォードを除くこれらの作品の主人公たち、またSFXを生み出したキーマン、ジョン・ダイクストラやプロデュースしたゲイリー・カーツなどの中心人物たちがかなり破滅的なその後をたどったり、ルーカスとの良好な関係をこのプロジェクトの後にまで持ち続けることができなかったことを見るにおよび、いかにこのプロジェクトがクレイジーなものであったか、また、ルーカスがいかに特異な人物であったかが感じられる。
ただ、ルーカスの「特異さ」は、この本にはあまり現われてこない。「あまりものを言わない監督」というのが彼のすがたであり、そのことがあちこちで圧轢を生んでいるようだが、それだけからはルーカスがどんな人物であったかは、「つきあいにくい」というイメージ以外はあまりあらわれてこない。その辺は翻訳のせいなのか、ありがちな多人数からのインタビュー・引用的な本の書き方によるのかはよくわからない。

おしまいに訳者・野田昌宏の下らない後書きがあり、これは読むに値しない。ヲタク的情報が幾らか含まれているのにわずかの意味をとどめるのみ。


(c)久島昌弘:1999.6.29
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